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【重力】最弱にして最強の宇宙の支配者。押したのに戻ってくる「負の質量」を持つ物質の作成も可能に! 宇宙開発に向けた「人工重力」の研究も

物質の多くは質量を持っています。質量があるから重力が生まれ、星や銀河が作られました。この宇宙が今のような状態になっているのは、重力のおかげといって過言ではありません。そして、人類が重力の研究を始めたことで、宇宙の果てにあるさまざまな事象、宇宙の始まりなどもわかるようになってきました。今回は「重力」、そして「質量」について解説します。

ニュートンが見つけた万有引力の法則の偉大さとは?

木の枝から落ちるりんごを見たニュートンが「万有引力の法則」を発見したのは有名な逸話。しかし「物体が上から下に落ちる」ことは昔から誰もが知っていたこと。にも拘わらず「万有引力の法則」の発見は、科学の進歩に大きな発展をもたらしました。

このニュートンの「万有引力の法則」はいったいどこがすごいのでしょうか。

ニュートンが研究していたのは、ケプラーの法則(惑星が太陽の周囲を公転する運動の法則)でした。そして「なぜ惑星は(地面に落下することなく)太陽の周りを回っているのか?」などと、いろいろな思索にふけっていたのでしょう。

そんなとき、りんごが落ちるのを見て思いついたのが、万有引力の法則なのです。

宇宙と地上で同じ法則が働いているという気づき

この発見により「惑星が太陽の周りを巡る」のも「りんごが木から落ちる」のも、「引力」という同じ法則によって説明できると気がついたのです。

「そんなの当たり前」と思うかもしれません。しかし当時はまだまだ宇宙は謎に満ちた存在であり、人知の及ばない世界でした。

そのため

「地上は人間の世界であり、宇宙はそれとは別の法則で動いている」

と宇宙を特別視して考える人も少なくない時代でした。

その古い考えに切り込んだのが「万有引力の法則」だったのです。これにより「宇宙での星の動き」も「地上の物体の動き」も同じ法則で説明できるという新しい考え方が誕生したのです。

万有引力の法則がもたらした宇宙観

21世紀に生きる私たちは

「この宇宙は、ビッグバンから始まった」
「巨大な恒星が超新星爆発を起こした後にブラックホールができる」
「巨大ブラックホールが持つ強力な重力によって、銀河は形成される」

ということを科学的な事実として知っています。

さらには将来この宇宙で起こることも知っています。例えば

「約40億年後、天の川銀河と隣のアンドロメダ銀河は合体して、ひとつの巨大な銀河になる」

ということもわかっています。

このように地球上にいながらにして、遠くの宇宙の果てで起こっていること、はるか昔に起こったこと、遠い未来で起こることを科学的に研究できるのも、「重力がわかってきたから」であり、ひいては「ニュートンが万有引力の法則に気づいたことから」といえるのです。

無重力空間における質量とは? 重さがなければ質量もない?

そもそも重力、質量とは何なのか、改めて整理してみましょう。地球の重力のもとにある地上では、「質量=重さ」と考えていいでしょう。しかし無重力空間では重さはゼロになります。では無重力の環境では、質量は関係なくなるのでしょうか。

そんなことはありません。例えば、無重力空間で「重い物体」と「軽い物体」、ふたつの物体を同じ力で押してみます。すると、重い物体はゆっくりと移動し、軽い物体は早く移動します。これが質量の大きいものと小さいものの違いです。

つまり、質量とは「物体の動かしやすさ(動かしにくさ)」のことなのです。重い物体は動かしにくく、軽い物体は動かしやすい。もしすでに動いている物体であれば、重い物体は「方向やスピードを変える」のが大変になり、軽い物体は簡単に方向やスピードを変更できます。

この宇宙を支配しているのは重力

さらに「質量の本質」に迫ってみましょう。なぜ質量を持つ物体は、周囲のものを引き寄せる力を持つのでしょうか。

実は引力(重力)とは「物体同士が直接引き合う力」ではなく、「空間をゆがめる(縮める)力」なのです。「空間をゆがめて引き寄せる」ことが、結果として「近くにある物体を(空間ごと)引き寄せる」ことになります。

重力は、他の力に比べると圧倒的に弱い

次は、重力と他の力を比較してみましょう。この宇宙には

  • 電磁気力
  • 強い力(強い相互作用)
  • 弱い力(弱い相互作用)
  • 重力(引力)

の4種類の力があります。このうち、もっとも力が強いのが、「強い力」であり、「電磁気力」、「弱い力」と続きます。「重力」は、他の力と比べるとあまりにも小さくて、もはやその存在は「誤差のレベル」と呼んでいいほどです。

実際にどれくらい重力が弱いかを体感してみましょう。私たちの人間の体を動かす力は「電磁気力」です。電磁気力を使って、体の筋肉を動かしているのです。

その筋肉を使って、ジャンプしてみてください。体が宙に浮かびましたね。それは「あなたの体の中の電磁気力」が、「地球が持つ重力」に勝ったということ。この大きな地球が持つ重力に対して、人間の小さな体が持つ電磁気力が勝っているわけですから、いかに重力の持つ力が弱いかがわかると思います。

重力は、宇宙のはるか遠くまで作用する

重力は空間をズルズルと縮める力だと説明しました。そしてその影響は何千光年先、何億光年先の空間にまで及ぶのです。そのため引力の届く範囲は無限大です。宇宙で小さな物質が合体して星や銀河が生まれたり、銀河同士が合体するのも、小さな物質一つひとつが持つ重力が集まって実現される事象なのです。

なぜこの宇宙がこのような形になっているのかを考えてみると、その理由は「重力があったから」となるでしょう。いわば重力はこの宇宙の支配者なのです。

素粒子は、質量のわずか1%。残りの99%はどこから?

ところでそもそも、質量はどこから生まれるのでしょうか。私たちの体は原子から構成され、原子は陽子、中性子、電子から成り立っています。さらに細かく見ていくと、陽子や中性子はクォークという「素粒子」が組み合わされて作られています。

このように説明すると、
「私たちの体の質量は、体を構成するすべての素粒子の重さを合計したもの」
というように思われがちです。

しかし、実は違います。すべての素粒子の重さを合計しても、わずか1%程度に過ぎません。となると、残りの99%の質量の正体は何なんでしょうか?

その答えは力、エネルギーです。質量は、素粒子が陽子や中性子、そして原子を構成する力(強い力、強い相互作用と呼ばれる力)に起因して作られています。

原子力エネルギーの源も質量に

簡単に説明しましょう、素粒子は原子の内部で光に近い速度で動き回っています。また、プラスの電荷を持つ陽子は原子核の内部で反発しあいます(プラスとプラスは反発するから)。そのため本来であれば原子核はバラバラになるはず。ところが、実際には原子核はバラバラにならず、物質を構成しています。

それは原子核の中に閉じ込める役割を持つ強い力があるからなのです。その力を生み出しているのがグルーオンという素粒子であり、その素粒子が持つ力が「強い力」「強い相互作用」と呼ばれるものです。これによって残りの99%の質量が生じているのです。

いわば原子のなかには「エネルギーが質量という形になって閉じ込められている」という状態と考えると良いでしょう。そして原子核に閉じ込められていた膨大なエネルギーを外に取り出したのが、原子力エネルギーです。

なお、素粒子と質量についてきちんと解説するととても長くなるので、ここでは避けます。詳しく知りたいなら「グルーオン」「カラーの閉じ込め」「ヒッグス場」「ヒッグス機構」「ヒッグス粒子」について調べてみてください。

質量に関する研究

質量や重力は、物質の成り立ち、宇宙で起こっているさまざまな現象の解明、宇宙誕生、宇宙の終焉(しゅうえん)などの研究に役立つとされ、研究されてきました。

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ほかにも質量、重力に関する新しい研究が行われているので、いくつか紹介します。

押したら戻る「負の質量」

2017年ワシントン州立大学は、「負の質量を持つ物質」を作ったと発表しました。通常の物質の質量は「プラス」ですが、質量が「マイナス」になるとはどういうことでしょうか。

先ほど質量とは動かしやすさ、動かしにくさだと説明しました。重いものを右に押すとゆっくりと右に動き、軽いものは早く右に動きます。それが通常の質量を持つ物質です。ところが負の質量を持つ物質は、右に押すと左に動き、遠くに押すと近くに寄ってくるという不思議な動きを見せます。

ワシントン州立大学では、通常の質量を持ったルビジウム原子を、絶対零度に近い低温環境で、レーザーでスピンの向きを変えるなどして、質量が負になっていることを実験で確認しました。

・米大、”マイナス”の質量を作ることに成功

・‘Negative mass’ created at Washington State University

地球を飛び出し、他の惑星で生きるのに不可欠な「人工重力」

宇宙開発が進み、月や火星で人類が生活するためのプロジェクトも耳にするようになりました。そのような時代の到来に向けて、京都大学 総合生存学館SIC有人宇宙学研究センターと鹿島建設が2022年に発表した共同研究が、人工重力居住施設「ルナグラス・マーズグラス」です。

月や火星は、地球と重力の強さが異なります。そのような環境は、人体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。また子供を産み育てることは可能なのでしょうか。

ルナグラス・マーズグラスは、月や火星で人類が生活することを見越した、地球と同じ程度の重力を発生させる居住施設です。あわせて、縮小生態系を移転する「コアバイオーム」、人工重力交通システム「ヘキサトラック」の研究も行われます。

・京都大学:京都大学と鹿島建設株式会社は、月や火星に住むための人工重力施設の共同研究を開始します

<「人工重力」の研究スタート これで月に住むことができる? 京大と鹿島 「2050年には実現したい」>

「重力、質量」について学べる大学の学部、学科

質量や重力、引力の研究は、物質の成り立ち、宇宙で起こっているさまざまな現象の解明、宇宙誕生、宇宙の終焉、さらには宇宙開発などの分野で行われています。学部でいえば、理学部、理工学部で、宇宙物理学、量子力学などの分野で研究されています。